可能性は屋上にあった。都会で楽しむ晴耕雨読の暮らし【菜園長屋】

土をいじり、自分で食べるものを自分の手でつくる暮らし。ご近所さんとのなにげない会話や持ちつ持たれつの関係。
東京23区の賃貸住まいでは、なかなか手に入らないですよね。毎日の生活に直結しない場所や時間をもつことは贅沢とさえ、言えるかもしれません。
けれども、こんなかたちなら都内でも土にふれ、心豊かに暮らせる場がつくれるのではないか。今年、大田区に誕生した「菜園長屋」はそんな可能性を示してくれました。

朝どれ野菜を食べ放題の畑つきアパート

蒲田から京急線でひと駅。

最寄りの雑色の駅前には、初めて降りたった場所なのになぜか懐かしく感じられるようなアーケード付きの長い商店街が続いていました。ビニールの花飾りや「●ルナンデスに出ました」と看板が掲げられたお惣菜屋さん。

お店や通りすがりの人たちを観察しながら歩いていると、10分もしないうちに現地に到着しました。

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    東京品川方面へのアクセスは良好。
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    昭和世代ならホッとする風景かも。

「菜園長屋」が建つのは、表の道路から少し奥まったところ。近付いていっても道路からはなかなか全容が見えません。
入り口で待っていてくれたのは、この建物を企画したクリーク・アンド・リバー社広報の橿渕(カシブチ)さん。

案内していただいて敷地内の小径を歩いていくと、やっと赤茶色の建物が見えました。「菜園長屋」にご対面です!

タイトルには「アパート」なんて入れてしまいましたが、厳密にいうと、ここは長屋とよばれるスタイルの賃貸住宅。屋上についている畑も込みで月13万円〜の家賃で借りられます。ちなみに、畑も正確にいうと菜園ですね。

  • 一棟の建物内に、6世帯が並んで入っています。

長屋には共同のエントランスがなく、直接、家から外に出られるかたちになっています。手前から奥に向かってドアと窓が規則正しく並んでいる様子は、なぜか部室や合宿所を彷彿とさせました。

「どこから、ご覧になりますか。実は、世帯ごとに壁紙の色も変えてあるんですよ」と橿渕さん。

バーガンディやペールブルー、アイボリーなど、家ごとに違う壁紙は、現地で直接、色合わせをしたこだわりのカラーだそう。どの色も気になりますが、まずはネイビーで統一されたお宅にお邪魔しました。

玄関に入るとホールのようになっていて、右手にはバスルームにつながる階段、左手には上につながる階段があります。階段でぐるぐると上にあがっていく家はちょっと秘密基地めいていて、内覧会に訪れた子どもたちも「何階まであるの!!」と大興奮だったのだそう。

  • 3階のお部屋の奥には小さなドアがあって、その先は…

トイレやキッチン、クローゼットに、いくつかのお部屋を通り抜けて上がっていくと、最上階には屋上へ出る小さな出入り口がついていました。この先がいよいよ、菜園長屋の最大の特徴である「菜園」のエリアです。

外へ出てみると…..

  • 地上のような、屋上のような不思議な景色。

周囲に高い建物はなく、視界を遮るものはほとんどありません。空が広がっていて開放的!

屋上のスペースは想像以上の面積が土におおわれていて、ちょっとした公園のようです。空港が近いため、飛行機が見られることも多いのだとか。腰をおろして、しばしぼーっとしたくなってしまいます。

そこへ「畑が気になってしかたがない」と農家のようなセリフと共に登場したのは、この菜園長屋の担当者であるクリーク・アンド・リバー社の建築事業部の鈴木さん。ここに土を入れる作業にも関わったことから、菜園への愛情もひとかたならぬものがあるようです。簡単に菜園とはいいますが、実は、屋上はかなり特殊な環境。ここには色々な仕掛けがしてあります。

  • とても屋上には見えませんが、こんな菜園が屋上の上に広がっているのです。

「屋上菜園に詳しい専門家に教えていただいて、根がはらないようにするシート、スコップで屋上の床を傷つけないようにするシート、水はけをよくするシートなどをはり、その上に20〜30センチの土を盛りました。土も重過ぎると、建物へ負荷がかかりますし、軽過ぎると風で飛んでいってしまいます。屋上に適した土があるんですよ」

工事中の写真を見せていただくと、土の袋が山のように積み重なっていて、かなりの量の土がこの屋上に敷きつめられていることが分かります。

「このように屋上に設けた菜園というのは大田区では初めてです。都心の賃貸で、ここまで自然にふれられる暮らしも珍しいのではないでしょうか」

  • 各部に使われる素材も自然を意識。金属製の柵には丸太がかぶせられていました。

一戸にわりあてられた菜園はちょうど、その家の屋上部分にある2区画。市民農園を借りるよりもずっと広そうです。もし災害が起きたとしても、ここに野菜が育っていたら3日ぐらいは余裕で食べられるんじゃないでしょうか。

いきなり、非常事態まで妄想をふくらませてしまいましたが、屋上に菜園があったら、たとえば、こんな生活もできます。

朝、目覚めたら、コーヒーをセット。ちょっと屋上にあがって、野菜の様子を見ると葉っぱの上に朝露が転がっていて、とてもキレイです。ずいぶん成長してきたので、いくつか間引いてみました。階下へ降りると、コーヒーの香りがただよってきます。とったばかりの間引き菜を洗って、ドレッシングをかければフレッシュサラダのできあがり。さわやかな一日のはじまりです。

……と、また妄想を繰り広げてしまいましたが、どんなに長く見積もっても産地から食卓まで3分。毎朝、超新鮮野菜が食べられる家なんて、そうそう見つからないですよね。

「土地が充分ある地域なら、庭先を家庭菜園にできるでしょうけれども、都内ではそうはいきません。高層建築で囲まれた都心部では屋上でも日が入らないでしょうから、屋上に設ける菜園というのは、この場所ならではといえるかもしれませんね。

建築士さんが細部まで丁寧に設計してくださって、室内も心地よく過ごすことができます。入居者の方には、ぜひ晴耕雨読の生活を満喫してほしいですね」

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PHOTO by Yusuke Nishimura

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菜園長屋

屋上に菜園のある長屋形式の賃貸住宅

木造地上3階建て
総戸数6戸(Cタイプ51.06㎡〜)、
月額家賃13万円〜(管理費別)
2017年1月下旬より入居開始

 

施主 株式会社メイショウエステート
企画 株式会社クリーク・アンド・リバー社
設計 株式会社吉村靖孝設計事務所
施工 株式会社リクレホーム

  • 特集 目黒通り 家具・インテリアSHOP
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