世界に1枚、本物のムク材がココに。職人を支える、職人の仕事。【中田木材工業株式會社】

ちょっといいなと思う木の家具は、天然木のムク材であることが多いこの頃。アイアンと組み合わさったりすると、モダンで超カッコいい。さらにそれが一点ものだったりすると、余計にテンションが上がります。
そんなムク材をはじめ、たくさんの木材を扱い、長きに渡ってたくさんの家具、インテリア、建築などの業界を支えてきたのが、大阪市住之江区にある中田木材工業株式會社です。
そこには決して派手ではないですが、丁寧で、人間味に溢れた職人の仕事がありました。

オーダーメイドも、小売も! オンリーワンな存在に。

家具デザイナーや設計事務所、工務店といった“業界人”だけでなく、種々の木材を個人向け小売しているのも中田木材の特徴。大きな一枚板や端材が並ぶ巨大な倉庫に、誰でもフラっと立ち寄って、お気に入りの1枚を探すことができます。

この辺りでも、個人向けの小売をやっているのは、うちくらいじゃないでしょうか。一般の方が趣味のDIYなどがほしいと思った時は、普通はホームセンターなどに行きますよね?

そういったところと比べると圧倒的に樹種が多いですし、値段も安いと思います。木が好きな人からすると、ここは天国だそうですよ(笑)

  • これらの木、すべて、誰でも買えますよ。
  • しかもとってもお安いですよ!

さらに中田木材には、もう1つの大きな特徴があります。それは、家具などのオーダーメイドもできるということ。

実は敷地内に、提携している木工職人の工房があるのです。その名も『Woodworks and Designs TOBA』。木工職人である鳥羽勅存さんが、そこで作業にあたっています。

  • 入口にある看板も、もちろん鳥羽さんの手づくり。

同業者の下請け業務はなるべく受けずに、違うジャンルのモノづくりにおける木の部分をお手伝いすることが多いという鳥羽さん。

一般家屋の家具はもちろん、個人のクリエイターさんがつくるカバンの取っ手部分や、果ては大手楽器メーカーからの発注を受け、かつて名器と言われたシンセサイザーを復刻させるにあたっての、木製の側面パーツを手掛けるなど、活動のフィールドは多種多様。

突然の取材にも「木で出来ることなら何でも相談してください!」と、自信をのぞかせていました。

  • 素人目にもテンションが上がっちゃう道具たち。
  • 大量生産はできませんが、1つずつ丁寧に手作り。

実は、先述の小藤さんの家にあるテーブルなどの家具をつくったのも、鳥羽さんだったそうです。

既製品ではどうしても満足がいかない人、もしくはサイズやカラーが合う家具を見つけられない人は、ココに来て、まず倉庫でお気に入りの木材を選び、そして鳥羽さんの工房に持ち込んで、自分だけのオリジナル家具を作る、なんてこともできますね。

  • 少し暗い工房内は、“大人の基地”って感じ。

家具などに使う木材は、海外からの輸入が主流となり、また、安価で大量生産をするために、天然のムク材ではなく木目プリントのものが選ばれることの多い現在。

国内の木材産業は、一部で下り坂であるとも聞きます。

確かに木材でも輸入のものがどんどん増えているので、今後ますます厳しくなっていきますね。

ただ、例えば針葉樹の中でも杉などは国産が100%で、中国に輸出もしていますメード・イン・ジャパンのものは需要もあって、高く売れるようです。そういう事例をもっと増やしていかないといけません。

あと、木特性を知り尽くしている我々が、デザイナーや設計士に対して提案をするカタチを取れればいいですね。図面を作る側の人は、案外、木のことを知らないまま樹種を指定してきます。そこを我々がコラボレーションすることができれば、もっといいものができますよ

大量生産・大量消費の波に追いやられながらも、ブレることなく木を愛し、そして人を愛し、地道に自らの仕事に打ち込んでいく。その姿は、決して派手ではないものの、とても気持ちがいいものです。

もしかしてみなさん、ちょっと気難しいのかな、なんて思いながら話しかけてみると、誰もが気さくでおしゃべり好き。これが生粋の大阪の職人さんたちの姿なのかもしれません。

この人たちの丁寧な仕事が、こだわりの職人を支え、出来あがった良いものが、こだわりのユーザーへと届いていきます。いつまでもこの流れがなくなりませんように。そんな願いをこの地に残し、大阪を後にしました。

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PHOTO by Genta Hisada

中田木材工業株式會社

木は工業製品ではなく、自然の産物=生き物です。樹種による違いだけでなく、形も大きさも木目もひとつとして同じものはなく、木を選定する者にとってはそれが醍醐味でもあり、難しさでもあります。

「木のプロ」として、お客様と木との素晴らしい出会いのために、常に厳しい目と管理体制と「愛」を持って取り組む。それが”中田印”に込められた私たちのこだわりです。

公式サイト:http://www.i-nakata.co.jp/

木の市場「木木」:http://www.i-nakata.co.jp/shop/

WRITER'S VOICE

いきなり行って、そのまま買って帰れます!

取材の間にも、どんどん問合せの電話がかかってきては、どんどんと発注にいたっていました。やはり、かなりの種類の木材が揃っていること、ワンストップで加工までできることなどから、すごく重宝されているのではないでしょうか。

そして何より、プロが使えるレベルの木を小売してくれているのが嬉しいですね。関西にお住まいの“木フェチ”の人は、絶対に1度、足を運ぶべき!! かなりの高確率で、お気に入りの、そして世界に1枚の自分の木が見つかるんじゃないでしょうか。

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