家具屋で出会った、ヒト・モノ・コト【リノスタ ライター座談会】

リノスタで連載中の『目黒通り 家具・インテリアショップ特集』。店舗にお邪魔させてもらったライターのふたりが、取材を通して感じたコト、出会ったヒト、見つけたモノをざっくばらんに語らいます。今まで考えることのなかった家具の世界の、ちょっぴり深いところまで。目で見て、耳で聞いて、手で触れてきたからこそ、再認識した“本物”のすばらしさがありました。

家具選び、まずチェックしたいのは……?

「個性豊かなショップばかりなんですが、スタッフの方のお話には共通している点もあるんです。意外だったのがデザインとかスタイリングの話ではなくて、“サイズ感”を大切にしているお店が多いこと。『お客さんのお部屋のサイズや生活スタイルに合わて提案します』っておっしゃるんですよ。

その言葉だけだと、フルオーダー的な印象を受けるかもしれませんが、そうではなくて。要するに家具選びの際の1つの基準と言ってもいいかもしれません」

「自分の家にその家具を入れた時に空間がどうなるかを想像させてくれるのって、すごく大事な工程ですよね。家具屋さんで真っ先に考えるのってデザインと使い勝手じゃないですか? デザインの方は個人のさじ加減ですけど、一方の使い勝手となると、サイズなど、素人には判断しづらいところだと思います」

「特にそれを徹底されているなって感じたのは『BRUNCH』系列。目黒通りに、それぞれ特徴を持った店舗が5つあるのですが、そのどこでも共通認識として持っているようでした。

———例えばダイニングテーブルの場合、それを置いたときに『歩くスペースは確保できるか』や『椅子の高さはマッチしているか』などをお聞きしています。同じ身長でも手足の長さは違いますし、足が浮いたまま座るのは疲れてしまうので。また、キッチンボードでも、トースターを置いた時に、板や隣に置くものと近くなりすぎないかは伝えていますね。変色してしまうことがあるので———
やさしい気持ちでいられる家具【BRUNCH】

新しい家具を買うことが後悔につながらないように、ユーザー視点でのアドバイスを心がけているのが伝わってきました」

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    無垢の1枚板のテーブル。世界でふたつとない逸品に触れてみてください。
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    ダイニングのセットだけでも何十種類も。
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    『BRUNCH』系列で唯一、ビンテージを扱う『BRUNCH+WORKS』
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    ウォルナットの無垢材で贅沢な空間を。
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    テキスタイルが映えるソファは、暮らしに喜びを与えてくれます。
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    無垢材やレザーのお手入れは、自分の手でやってみてはいかがでしょうか?

「まるで服を選ぶときみたいですね。たしかにオシャレな人は『デザインよりも、体型に合っているかが大事だ』っていいますし」

「そうなんですよ! 家具も同じなんですって(笑)」

「これを覚えているだけで、間違いのない家具選びに近づきそうですね」

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店員さん、ちょっといいですか?

「通りを1往復するだけでわかると思うんですけど、“家具”ってひと括りにするにはジャンルもお店も多すぎますよね。店単位でみても、業態も違えば規模もさまざま。それに、そもそも家具の中にめちゃくちゃジャンルがあるじゃないですか。『kanna』に行けば、壁面に高級オーディオシステムを組み込んでいたり、『OTSU FURNITURE』では昭和の古き良きちゃぶ台や和家具があったり。

今回それなりの数をまわりましたが、同じような家具屋さんはひとつもないですからね。どれも個性的で。ただ唯一、国や年代を問わなければ“アンティーク”はジャンルとして多かったかもしれません」

「アンティークの良さのひとつって、今では同じものが、もう手に入らないってところですよね。もの自体が貴重ということもあるのですが、使われている木材が今では伐採が禁止されて流通していなかったり、そもそも木が無くなっていたりという点が大きいと思います。お店の方がよくおっしゃっていたのは、昔はいい時代で素材もデザインもものすごくこだわったものが多かったと。現代ではとてもじゃないですけど、同じコストで生産はできないんですよね。それを聞いてアンティークの価値を再認識した気がします」

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    アンティークやビンテージには時間が与えた価値もあるんですね。
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    一度見たら忘れられない、極限まで作り込まれたの造作家具が並ぶ『kanna』
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    『OTSU FURNITURE』の店舗には工房が併設。実際の作業風景も見ることができます。

「なるほど。やっぱり店員さんと話をすることで初めて知ることって多いですよね。今まで自分が好きで見ていたジャンルでも、当たり前のように知らないことばかり。それがその日はじめて見たものだったときには、聞くことすべてが新鮮に感じます」

「私もそれは同感です! 店員さんとは話した方がいい!! 話しかけるまでが、ちょっと勇気いりますけど(笑)。なんとなくでも、興味や目を引くものあって訪れた場所ですから、せっかくならを声かけて色々と聞いてみるのは面白いと思います」

「単純に知的好奇心をくすぐられますからね。あと、家具に隠された物語みたいなことが聞けるとワクワクします。オーダーソファ専門店『Stanly’s』の藤元さんのお話がまさにそれでした。

———海外では、ソファをフルオーダーすることは当たり前なんです。それを大切に、リペアを繰り返しながら100年くらい使うことも珍しくはありません。祖父母の代から孫の代まで受け継ぐ。イギリスに留学していた頃にその文化に触れて、それを日本に広められればと思ってお店をはじめました。———
自分だけのお気に入りを、ずっと使っていく。【STANLEY’S】

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    つくり続けること。使いつづけること。その大切さを、家具が教えてくれた気がします。
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    昭和の家具が、いま新しく感じるのも、職人たちが守りつづけてくれたからなんですね。
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    ひたむきに、自分がいいと思うモノをつくりつづける職人の方にも会えました。
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    目黒通りの家具屋さんは建物自体にも歴史を感じるお店が多いんです!

僕たちが、まだ気づいていないだけで、ゆっくりと新しい文化や職人の技みたいなことは家具を通して根付いているんじゃないでしょうか」

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PHOTO & TEXT by Yusuke Nishimura

目黒通り 家具・インテリアショップ特集

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アンティークの1点物やデザイナーズの名作家具、オーダーメイドの逸品に、個性あふれるオリジナルまで!

目黒通りはヨーロッパ、アメリカ、アジアなど、世界中の家具が集まる楽園でした。

“インテリアの聖地”をギュギュっと詰めこんだこの特集で、あなたのとっておきのアイテムを見つけてください!!