素材は国産。工程は手作り。細部にまで職人の魂が宿るデニムソファ【cubic style】

Smith。「職人」という意味を持つその言葉こそが、今、大阪を中心に全国的に話題を呼んでいるデニム張りソファの名前です。
どこか無骨な風合いを見せる生地と、瀟洒な木とアイアンが絶妙なコントラストを奏でながらマッチする端正なルックスで人気を博す「Smith」シリーズ。そこには、家具屋としての、そしてモノづくりに携わる職人としての、ただならぬ気概が込められていました。

受け継がれる職人の信念

職人たちの思いと願いがカタチになった今、商品は大人気です。その理由を、自身ではどう分析しているのでしょうか。

「見た目のインパクトや座り心地はもちろんですが、やっぱり経年変化があるところですよね。使えば使うほど、味わい深くなる。そんな生地って他にはないと思います。

実はもともと私はデニム生地の服がそれほど好きだったわけではないんですが、 今となってはジーンズに熱狂的なファンが多いのも分かります」

言わずもがな、デニム生地は生き物。ジーンズマニアがそうするように、好きなように育て、色あせゆく姿を楽しみ、生活に馴染ませていくという楽しみが、このソファには付いてくるのです。

しかし、座ると色移りするのでは? という心配が少しだけ……。

「そうですね。色移りはやっぱりします。すでに洗ってある状態のものを貼っているので、本当に少しですけどね。私も今日、白いパンツを履いていますが、こうやって実際に座っていますから。別にこれくらでは移りません。

この商品を選ぶのであれば、ちょっとくらいの色移りは、むしろ楽しんでもらいたいですね」

  • 家族の歴史や思い出が、デニムに刻まれていく。

1つの完成形とも言えるプロダクトをリリースした今、次の構想はあるのでしょうか。

「当然あります。まずは新しい世代の日本人に馴染むプロダクトを扱う新ブランドの立ち上げ。日本人と言っても、例えば畳とかこたつとか、そういうことではありません。若い世代がカッコいいと思う商品と、日本人が愛するテイストとをマッチングさせていくいイメージですね。

あとは、ユーザーに対するサービスをさらに強化するために、不動産業者とのコラボも考えています。というのも、家具って店舗で選んで、家に入れてみるとイメージと違うことがありますよね? お店で見た時より随分と大きく感じたり……。でも基本的に返品・返金はできない。ある程度は仕方がないのですが、「それってどうなんだろう」っていう、もんもんとした気持ちがずっとありました。それを解決するためのプランですね。また紹介できる時が来たら、取材に来てください(笑)」

次の展望を語る宮地さん。その姿は、自信に満ち、雄弁で、そしていつだって常にお客さんのことを1番に気にかけています。それはつまり、モノづくりの国、日本が脈々と受け継いできた、「職人の姿」とも言えるのかもしれません。

長い歴史の中で、家具とともに発展してきたこの街で、こうしてまた1つの作品が生まれ、選ばれていく。家具屋として、木工職人として、鍛冶屋職人として……その誇りや信念に、新しい感性や価値観が混ざり合い、また次の色が生まれていくのでしょう。家具やインテリアの世界、まだまだおもしろい動きが止まりそうにありません。

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PHOTO by Genta Hisada

DENIM Sofa “Smith”

アイアンのフレームを使って作られた Smith ソファ。

鍛冶屋職人をイメージし、岡山県備中地区産の国産デニム布地で仕上げました。

ビンテージデニム・生デニム・色移りしない合成デニムの3種類からお選び頂けます。

cubic style

大阪市西区南堀江1-24-7
Tel. 06-6531-3146
11:00am – 8:00pm
不定休
http://www.cubicstyle.com/

WRITER'S VOICE

職人には分かる、職人の技

実はこの取材の間にも、ヒゲを生やしたカッコいいおじさまが、かなり長い時間をかけてSmithを眺め、店員さんにいろいろと確認して、そのまま1台、予約されて帰ったんです。後でこっそり聞くと、その人は建築家の方で、いま設計している家に入れるんだとか。

やっぱり、たくさんの職人たちが精魂を込めて作り上げた「職人」という名のプロダクト。さすがに職人が見れば、その良さが一発で伝わるんだな、なんてその場で感じちゃいましたね。

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