vol.04 カモの親子

自転車で出かけたのに突然の雨に打たれて、そして眠くて、とても疲れていたある日。近所の駐車場で、カモが赤ちゃんを4羽連れて歩いているのに出会った。

小さい1羽がちょっとした段差につまづき、うまくのぼれないでいる。
他のカモたちは段差の上からそれを見守り、通りすがりのおばちゃんが雨の中立ち止まってほほ笑みながら「がんばれ、がんばれ」と声をかけている。

道路からしばらく見ていると、つまづいていた子ガモもやっと段差をのぼることができて、みんなでどこかへ歩き出した。
ホッとして自転車をこぎはじめると、あることに気がついた。

「あれ、なんか疲れが取れてる……」
カモたちに気を取られている間に、なぜか不思議なぐらい元気が回復していた。
しばらく抱えていた「疲れた……」という気持ちが、一瞬どこかに行っていて、それだけでずいぶんリフレッシュできたみたいだ。

気分転換がなかなかうまくできない。

つい同じことをずっと考え続けてしまうし、遠くに出かけたりジムに行ったり好きなだけ寝たりする余裕がないときもある。
でも、それは思いがけないところからやってくるんだな。
一緒にいたのはほんの2分ぐらい。
カモたちは今も私のことなんて知らずに暮らしているだろうけど。
目の前を通りかかってくれてありがとう。
これからもいろんなものに気を取られて生きていきたいなぁ。

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amycco.さんの著書「文鳥ちゃん」

yabai

文鳥ちゃんは、羽のお手入れと恋に夢中な白文鳥の女の子。
人間の「あきぴょん&えみ夫妻」と一緒に楽しく暮らしています。
ところがある日、文鳥ちゃんはあきぴょんに恋をしてしまい……
あきぴょんをめぐる恋の三角関係の行方は……?
¥1,512(税込)

『文鳥ちゃん』

amycco.著
出版年月日 2016/4/19
ページ数 111p
定価 本体1,400円+税

amycco.

amycco.prof

イラストレーター。

雑誌や書籍、雑貨などを中心にイラストレーターとして活動中。毎日文鳥に怒られている。

『文鳥ちゃん』(洋泉社)発売中。

公式サイト:http://amycco.com/