夫と妻と、犬が一匹。築37年の中古マンションを買って、リノベーションをする話です。

家族紹介

family

我々夫婦にはいくつかの気が合わない点があります。わたしは納豆が好きで、夫は嫌い。夫は晩酌を好むが、わたしはあまりお酒を飲まない。そして、なるべく部屋を明るくしたい夫と、日が暮れたら間接照明だけでよいわたし、です。

吊るされなかったレール

プラン打ち合わせの当初、リビングの照明レールは天井から吊るすことになっていました。リビングからワークスペースにかけて、長いレールが一本通っていたら、空間のアクセントにもなって恰好いいのでは?という話になっていたのです。

  • 照明レール
    ピンクの部分に入れる照明レールを、天井から少し下げて吊るす形にしたかった。

それで、そのレールを天井から何センチのところに吊るすかを、フジコさんとも散々、打ち合わせルームの天井にスケールを突き立てながら散々、話していたのです。

「30cmだとたぶん照明に頭がつかえる」
「20cmだと吊るしてる感がそもそもない」
「25cm?」
「あいだをとって23cmにしません?」

などと、けっこうな時間をかけて、カンカンガクガクにやっておりました。やっておりましたのに。ある日、夫が言ったのです。

「レール、吊るさんでもいいんじゃない……?」

もともと、レールを吊りたいと言ったのはわたしだったと思います。きっとどこかで見て、憧れがあったのです。NUさんのコンセプトルームにも吊りレールがあったし。フジコさんもわたしの意見を加味して吊りレールありきで照明プランを提案してくれて、そこを起点に議論が進んでいたわけです。

一度「レールを吊りたい」と自分が言ってその方向で話が進んで行くなか、「吊りレールは天井高があってこそ恰好いい」という基本事項に、わたしは気づかないふりをしていました。というか、気づいていたし議論もしていたけれども、「どう吊れば恰好がつくか」ということばかり考えて「吊らない」という選択肢を無視していたのです。築37年の我々の部屋の天井が案外低いことにはとうに気づいていたけれども、何だかそれはダメな気がしていました。

それでも、あのとき、夫が「吊るさんでもいいんじゃない?」と言ったときの、わたしとフジコさんの「確かに……。(吊るすの)やめよう」「やめましょうか」の早さといったらなくて、思い出すと笑ってしまいます。時にこだわりを捨て、広い視野で抜本的改革を試みる勇気はたいせつ。

「チューブランプ」との出会い

吊りレールをやめることにした我々は、改めて照明計画を練り直してわけですが、NUさんの提携ショップ(※)の商品を眺めているときに「チューブランプ」に出会いました。

※NUさんには「DECOる」という家具・照明・植栽のスタイリングサービスがあり、提携ショップの商品はNU限定価格でお得に買えるのです。うれしい。

チューブランプというのは、1950年代ごろから主にヨーロッパの工場などで使われていた照明で、いわゆるインダストリアル系のインテリアとして、アンティークショップなどで扱われています。そしてこの「チューブランプ」が、我々夫婦はいたく気に入りました。何だか少しレールっぽさもあるし。直線的なものが天井から吊るされている、という様が、たぶんわたしは好きなのです。

というわけで、我々はチューブランプを多く扱っているというアンティークショップ「Bellbet」へ足を運びました。「Bellbet」は吉祥寺にショールームをもつアンティークショップですが、実際のモノが多く見られるのは東松山にあるウェアハウスの方ということで、東松山まで。なかなかの遠出でありました。でもこのBellbetの東松山ウェアハウス、めちゃくちゃよかったです。

>> Bellbet・東松山ウェアハウス

店舗というよりはほぼ倉庫なのですが、広い倉庫にぎっしりと家具や照明器具や鏡やその他アンティーク雑貨などが並んでいて、心が躍るとはこういうことを言うのだと思いました。車で向かう道中、「めっちゃ遠いな……」と苦笑いしていたけれども、遠出した甲斐を感じました。

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    カーナビを頼りにたどり着き、看板を見つけてホッとしました。
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    ぎっしり! この写真がフロアの半分くらいで、2フロアあります。
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    照明を見にきたのに、アンティークの鏡に夢中になるわたし。

そしてお目当のチューブランプ。同じようで微妙に違うランプが2本あり、店員さんに「この2本以外にもあるんですか?」と尋ねると、このウェアハウスとは別の工房まで連れていってくださり、在庫をすべて見せてくれました。

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    チューブランプ。この2本だけでも、塗装の具合やガラス部分の傷の付き方がぜんぜん違う。
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    べつの倉庫まで案内してもらい、在庫をぜんぶ見せてもらいました。

この中から、形や色、錆び具合などをじっくり見て、気に入ったものを一本選びました。こういうとき、わたしは案外「どれでも気に入るだろう」という大雑把な構えなのですが、夫は比較検討が好きなのでめちゃくちゃ細かくチェックして選びます。まめで偉いなと思います。

Bellbetのウェアハウスに並んでいる商品は、ほとんどがまだお手入れ前のヴィンテージ品なので、注文をしてからお手入れの時間をとっての納品となります。我々は手続きの都合上、のちほどプランナー(フジコさん)から連絡をしますと伝え、東松山を去ったのでした。

  • bellbet

人生にあるという、3つめの坂

人生には3つの坂があると言います。
上り坂、下り坂、まさか。

まさか、東松山までいって、倉庫の在庫まで見せてもらって、じっくり比較検討して選んだチューブランプを、まさか、キャンセルすることになるなんて。

このまさかの話は、次回「めぐりめぐるチューブランプの話・その2」で書きます。キーワードは「明るすぎる」。Bellbetさん、ほんとうにごめんなさい。

Q本かよ

qmoto_ap

俳優/コピーライター/デザイナー
舞台を中心に俳優として活動する傍ら、雑誌、広告でコピーやデザインの仕事を手がけている。
2017年に中古マンションを購入しリノベーション。夫と二人暮らし。曇天という名の犬もいる。