vol.14  手帳カバーは赤色で

お久しぶりです。ファンク・ダ・ネオーンです。

このリノスタのコラムも何ヶ月ぶりでしょう。あまりにメディアのカラーと違うので干されていた訳ではありませんよ。

さて、またまたリノスタ編集長から依頼がきました。

今回は手帳カバーです。
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こちらが現在、使用している手帳。

かなり長い期間使っているだけあって、なかなかの使用感。
ステッカーとピンバッジに関しては若干、若気の至りの匂いがしますね。
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肝心の中身はデルフォニクッスの手帳を使用。なるほど。

さて、今回はこちらのサイズにあった手帳を作っていきますよー。

サンプル制作

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まずはどんな形状にするか、どんな機能を持たせるかを決めていきます。
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打ち合わせの際はUSBメモリを入れられたり、名刺をしまえたり、様々な機能を持たせたい、なんて話もありました。
しかし、考えていくうちに結局シンプルなもの。

機能を増やすということは、ポケットなどのパーツが増えてしまい、どうしてもごてごてした印象になってしまいます。それよりも形の美しさや使いやすさを優先する方が良いとの判断です。

さて、形とサイズは決まったのですが、今回いきなり本番は作りません。

まずはサンプルを作ってサイズ感や厚みが合っているかなどを確かめたいのです。

それにサイズは分かっているとはいえ、手帳の現物がないのでいきなり本番はリスクが高い。リスクヘッジ。
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前に作った作品の床革が余っていたのでこれでサンプルを作ります。

(床革とは:例えば3mmの厚さの革を1mmに漉くと2mmの不要な部分が生まれますよね。それを床革といいます。本番ではあまり使えないので今回のようにサンプル作りにちょうど良いのです)
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まずは図面通りに断裁。
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こうしてみるとシンプルなものなのでパーツ数は少ないですね。

後はこれを手帳カバーに仕上げていきますよ。
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最初に左の差し込みになる部分をボンドで重ねます。

重ねることによってちょっとしたメモなどを挟むポケットを作るためです。
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しっかりと接着したあと、真ん中に縫い穴を打ち付けます。
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こちらをざくざく縫っていきますよー。あくまでサンプルなので雑でOK。
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次は右端。こちらはカバーのボタンを付けるため分厚くして強度を増すのが目的です。
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まずは穴をあけ、ボタンを取り付けます。
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次に縫い穴をあけ、縫っていき……
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ストッパーとしおりも取り付けてサンプル完成です。
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床革なのでザラザラしていますが、シンプルで飽きのこないデザインではないでしょうか。
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ふむ。いいんじゃないかな。

今度、お花見の席で編集長と会うので、その時に実際に手帳を合わせてみましょう。

お花見でサイズ合わせ

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“桜の樹の下には死体が埋まっている”、という有名な言葉は梶井基次郎の『桜の樹の下には』という短編からきています。あっ、これは余談です。

それにしてもお花見なんて何年ぶりかしらん。
(友達が少ないのでお花見に呼ばれる機会なんてありません。今回はレアケース)

頃合いをみて手帳を合わせてみます。
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右側が編集長。

どうでしょうか……。

編集長「ん? あれっ?? 上手いこと閉じられへん」
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マジか。
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むむむ! 確かに幅が足りていなくてボタンが留めにくい!!
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お花見の席に似合わないアイテム、金差しを持参。
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足りない寸法を計ってメモしておきます。サンプルを作っておいてよかった!

これで安心して本番に望めますね。

いざ本番制作!

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とは言うものの、メモを見返してみたらほとんど書いていないし、何を書いているか自分でも分かりませんでした。なんてこった。

あのお花見はきっと夢だったのでしょう。
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ただ幅の部分が短かったという記憶はおぼろげにあります。きっとそうなんでしょう。

今度は先に手帳のダミーを作ってサイズを合わせながら作ることにしました。

なぜこれを最初にしなかったのでしょうか。
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実寸です。
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挟む部分が肝心なので表紙と裏表紙も制作。
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先日作ったサンプルを入れてみました。
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やはりこの折り曲げの部分の長さが足りないんですよね。

あいや、分かった。みなまで言うな。

よし、その部分を改良して本番に挑みます。
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今回の革です。きれいな赤色。ちなみにちょっといい革です(値段高め)
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幅の長さを考慮して切り分けていきます。
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実は型紙ピッタリのサイズでしか買っていないんです。
良く言えば無駄のない買い方ですが、反対に言うとミスできないって言うことなんですよね。

僕はプレッシャーに弱いタイプなのですが大丈夫でしょうか。応援よろしくお願いいたします。
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続いて床面の処理を行います。

そうです。久しぶりの登場。トコノールです。声に出して言いたい材料、『トコノール』。
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指に付けて丁寧に伸ばしていきます。
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塗り終えたら乾かしを。

しばしブレイクタイム。コーヒーでも入れましょう。
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そうそう。最近このヤカン(?)を買ったんですよ。

ドリップコーヒーに最適なやつです。

以前はお湯を沸かすのに普通の鍋を使っていて、たいそう不便でした。
しかしこれでずいぶんコーヒーライフが向上しましたね。

とはいえ、豆から淹れるわけではないんですが、いずれ手を出すと思います。
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乾いたら先に焼き印を入れておきましょう。

前にも使った焼き印ですね。
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不要な部分で温度を確かめながら……
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ポンっと。

はい。上手くいきました。
ある意味ここが一番の失敗どころだったのでもう大丈夫でしょう。
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両面テープで仮止めし、幅を最終調整しておきます。
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あっ、これはちょっと幅が長過ぎましたね。
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というわけで調整、調整。
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そしてボタンを取り付けます。

今回は赤色の革に合わせて、金色に近い真鍮を選びました。高級感がでますね。

この金の真鍮って経年変化でつやが落ちてからもいい感じになるんですよ。
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受け側の方も先に穴を空けておきます。

まずは右側から攻めていきます。
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ボタンを取り付け、右側の縫いも完了。
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続いてポケットの部分を作っておきます。
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ポケットと表の革を重ね合わせて穴をあけ、
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縫っていきます。
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バッチグーですね。ちなみにバッチグーってバッチリグッドの略なんですよ。
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最後にしおりを取り付けます。
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穴をあけて
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カシメで固定。今回は星のカシメを使用しました。
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さて、8割完成しました! でもまだ仕上げが残っているんです。
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ココですね。この端の部分、コバといいます。

何もしないとザラザラしていて見栄えも使い勝手も悪いのです。
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目の粗いヤスリから細かいヤスリをひたすらかけていきます。

そして最後にトコノールをつけてさらに磨くとその結果……
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ハイ! こんなにツルツルに!!

どうですか! 奥さん!! 今すぐのお電話だったらこのツルツルがなんと19,800円!!!
さあ、今すぐお電話を!!!!

と、まあ、ざらざらだったコバがこんなにツルツルになるんですね。

これを行うとぐっと作品に締まりが出ます。
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というわけで無事に完成!

良かった。ミスしなくて。
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ダミーをあてはめてみました。うん。大丈夫でしょう。

では編集長へ納品です!

編集長、ご満悦。

さて、後日編集長のもとへ届いた手帳カバー。いかがでしょうか……?
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「ほうほう、サイズはええ感じやな……」
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「名刺やメモもちゃんと入るし……」
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「しおりも使いやすそうやな……」
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「赤色の革、きれいやな」
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「ふむ、これは……」
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「ええやないかいっ!」


いただきました! 「ええやないかい」!!

気に入ってもらえたようで良かった、良かった。

それにしてもやはり質のいい革を使うと出来あがりもきれいですね。
ただ、その分ミスできないという緊張はあります。

赤い革も久しぶりに触りました。また機会があればいろいろな色の革を扱ってみたいですね。

さて、このコラム、次回の予定は未定です!

では!

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ファンク・ダ・ネオーン

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普段は普通のサラリーマン。
あるとき独学でレザークラフトを始め見事にはまる。

以来、頼まれた物など失敗や試行錯誤を繰り返し作り続けている。

今欲しい物はリアルに革漉き機とミシンだが、部屋に置く場所が多分ない。

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