vol.06  (続)ミュージシャン夫婦からの依頼

こんにちは! ファンク・ダ・ネオーンです。

今回は前回に続きミュージシャン夫婦からのご依頼。

いきなりですが皆さん、音楽って聴いてます? 僕は結構聴く回数が減ったり、若い頃の音楽に対してどん欲な、「もっとかっこいいバンドはないのか?」「かっこいい曲はないのか?」というような情熱がなんか薄れているなあ、というようなことを年齢とともに感じています。 

なんでこんな話から始まっているかというと、ちょうど今回、納品のタイミングが依頼者であるお二人のライブだったこともあり、なんか心を動かされてしまって……。

やっぱ音楽ってええなあ、かっこええなあ、ということをちょっと再認識したからなのです。

さて、依頼者のお二人、前回は名前を出してませんでしたが、出して全くOKということでちょっとご紹介しときますね。
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川久保典彦さん
★オフィシャルページ  http://www.kawakubo.sakura.ne.jp/index.html

多分、ライブ情報などはフェイスブックの方が詳しいのでこっちも。
★フェイスブック   https://www.facebook.com/norihiko.kawakubo
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スミ☆アヤコさん
★オフィシャルページ  http://mainitisumi.com

というお二人!

ソロでも色んなバンドでもやってるし、なんだか説明しづらい人たち(笑)

とにかくジャズとひとくくりに全くできないお二人は、むしろ僕ン中では広い意味でロック。ライブを見ると、度肝を抜かれますよ! 気になる方はぜひライブへ足を運んでください。

ちなみにお二人とのつながりを説明しておくと、僕も「SS」というチームでライブをする時、写真投影でチームの「SS」のメンバーなのです。

さてさて、では本題へ!

まずはウォークマンケースを納品

まずはちょうど新年会でお二人とお会いする機会があったので、前回作ったウォークマンケースをスミさんにお渡しします。(この時まだリストバンドは間に合わなかった)

スミさん、すぐにウォークマンを入れて使ってみてくれました。

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おー、バッチリじゃないですか!
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嬉しそう! 良かった‼︎ 
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スミさん「ただ、欲を言うとこのサイドの部分も縫うかたちにしたらもっとぴったりウォークマンが中央にはまっていいかも」

なるほど。オッケーです! 改良して再度納品します‼︎  
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そしてこの時、川久保さんに直接リストバンドの寸法も取らしてもらいました。

計り方がかなりワイルドですが。

リストバンド制作! 

よし! では作っていきますよ‼︎

今回はちょっと考えていたことがあって。

川久保さんには、最初に求めるリストバンドのイメージを聞いてるんですね。
そこで送られてきたのは結構シンプルなリストバンドだったんです。……が、僕からの川久保さんの印象は、全然シンプルじゃない(笑)

なんとかそれを表現できないだろうか……。

……そのためには彫ろう! 彫りましょうではないか。

最近始めた『カービング』という技術を使って作ることにしました。

この言葉、聞いたことあるでしょうか?

あっ、そうです。あのオリンピックで氷の上を……ってそれはカーリングですね。
違います。だいたいカーリングのルールも良く知らないではないですか。

そうそう、テストの時……ってそれはカンニングです。ってあっ、今スマホでカービングを調べてますね。それこそカンニ……。

はいっ。仕切り直します。

革物のお店なんかで、分厚い財布に花などの模様が立体になっているものを見たことがあるのではないでしょうか。バイカーの方とかがよく持っている。そう。それです。

実はカービング、僕、まだめっちゃ下手なんです。上手い人の作品をみると、自分の技術との差にため息と桃色吐息が出ちゃいます。

それなのに今回、この手法を選んで大丈夫? やれるの⁇ 僕……。 

いや、しかし、スキルより気持ちが大事でしょう。ハートです。

ということで、今回はカービングを使ってリストバンドを作りますよー!

まずはイメージを固める

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僕が川久保さんから受けるイメージのようなモノを書き出して、彫るモチーフを固めます。途中で写真を撮ったので、このマインドマップはもっと広がっていきました。

川久保さんからの要望で、

・SSの文字を入れる。※最初にちらっと言ったチームSSですね。
・「life is short…」のメッセージを入れてほしい

という2点がありました。

それに僕の感覚を付けたして、

・ピアノ:やはり入れたい。
・月と太陽:川久保さんのピアノを聞いてると、静と動(陰陽)のような対比のイメージが浮かんだので。
・ドリームキャッチャー:先々、もっとビッグな人になるはずなので。

のモチーフを入れ込みます。
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まずは紙にリストバンドの枠を作り、
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描き込みます。各要素をなんとか入れ込んでみました。
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そして下絵をトレペに写します。
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写していきますよー。
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写し漏れがないよう、たまにぺろんと持ち上げて確認します。
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さて、トレペに写し終えたら、さらにそれを革に写します。

ここで、右上に注目。これ、水とスポンジです。何に使うのでしょう?
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正解は革を濡らすためでした。

革は濡らすことで柔らかくなるので、この状態で描き込んでいくと線が残るわけですね。
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濡らした革に先ほど写したトレペを乗せて
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鉄筆などでなぞります。
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しっかりなぞります。
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するとこうした型が残ります。
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全ての線をなぞり終えました。次は彫ります! 

彫るのは難しくもちょっと気持ちいい!

さて、革に図案を写し終えたら、次はその線を彫っていきます。

彫るには『スーベルカッター』という、かなり特殊なカッターを使用します。
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このように人差し指を乗せて使います。下の部分はくるくると回転するようになっていますので、曲線が彫りやすくなっているのです。

しかしこのスーベルカッターもいい名前ですね。まさに滑らすように彫りますから。

きれいにスーと彫れた時は気持ちいいんですよ。でも僕はよくミスります。
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使う前に研ぎます。実際は水に浸してやってくださいね。包丁研ぎと同じです。
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彫るのは、むちゃむちゃ神経を使います。2年分くらいの集中力が必要になりますからね。
やる前に肉とか食べてエネルギー補給をしといてください。
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さて、ちょっと分かりづらいですが彫れました。

「飲む・買う・打つ!」いや、違う! 「写す・彫る・打つ!」の「打つ!」

さて、次の行程は彫った線を立体にします。
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使うのはこれらの『打ち棒』です。
革のお店などに行くとむちゃくちゃ種類があるのですが、今回は一番左の基本的なやつだけを使います。

ちなみにこれ、左がベベル、右の二つはバックグランドという打ち棒です。

打つ前に革が乾いていたら、もっかいスポンジで濡らしておきましょう。
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線に沿ってハンマーで打ち付けて段差を付けていくのです。

その際、少しずつ横に滑らすようにずらしながら打っていきます。

はい、難しいです(泣)
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右の線の部分にベベルを入れました。なんとなく分かりますでしょうか? 
では続けていきましょう。
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この作業、1回で3年分のエネルギー使うので、やる前にバナナでも食っといてください。

あと、これやってるときは話しかけちゃダメです。僕が会社の上司だったら「空気読め」って怒りますよ。
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鍵盤の周り完了。こういう風に立体になります。
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ふう〜。打ち終えました。彫った線が立体になっています。
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さて、ここで取り出したるは『カービングダイ』。染色用のインク(?)です。

これをいらない歯ブラシで軽くすくって、
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革にゴシゴシと塗りこみます。
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そして綿などで拭き取ります。要はアンティーク調に染色したということですね。
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乾いたらその上から「レザーコート」を塗ります。これは染色した部分をガードする効果があります。
ニスみたいな役割だと思ってください。
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周りを切り落として出来ました! (まだボタン付けてないけど)
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……う〜ん。う〜ん。

……なんかもっといいのが出来る気がするんだよな。

しかし、ここまでで5年分のエネルギーを使ってるしなあ。寿命縮むんじゃねえかな…。

……よし! 作り直しましょう‼︎ 妥協いくない! 多分、肉食えばいける‼︎‼︎ 

テイク2‼︎ 

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図案をちょっと描き直しました。ほとんど変わってないけど。
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さっきやって思ったけど、この右の部分がなんかレイアウト的に微妙な気がするんだよなあ……。
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直接アルファベットに描き直しました。

さて、もう行程は同じなのでザックザク写真と説明は省いていきますよ!
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革に写し終えて
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またエネルギーを消費。
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なんかさっきより濃く染まったかも。レザーコートで 保護します。
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出来上がりました。おそらく革の湿り具合で染まり方が違うみたいです。

一作目よりはなんか良くなったような(イカつくなったような)気がします。

ではボタンをつけましょう。
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今回はこれを使用します。実はスミさんのウォークマンケースで使ったハートとお揃いなんですよ。うふふ。
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ボタンの裏側。ねじ式になっています。
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さて、ここでひと工夫が必要となりました。

ボタンを買う時にお店の人に言われていたのですが、「ホックと合体させる時にサイズが合わないよ」、と。

「えっ!? どうしよう……」となってたところ、「ねじを削ってしまえば大丈夫」というアドバイスをもらいました。ホントかよ。
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ペンチで受けのねじの直径を小さくします。

地味にしんどい作業でした。ねじが固くて固くて……手が痛い。
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あっ、いけました、いけました。ボタンの装着完了です。

ちなみに全部が全部こういうことをしなくちゃいけないわけではなく、今回はどうしても使いたいボタンのサイズが合わなかったというだけです。
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さて、ここで出ましたトコノール!

よっ、個人的2016年度流行語大賞‼︎ 

リストバンドの周囲をヤスリで綺麗にしてトコノールを塗って仕上げます。
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 出来上がりました! ヒャッホー! 
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こんな感じに。どうでしょう。結構いい感じに出来上がったと思います。

……が、
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このボタンの部分がどうしてもちょっとだけ浮くんですよね。

革の厚みとボタンの足の長さが微妙にあっていない……。
他にも彫りの部分で気になる所もある。

…もう1回! ワンスモアアゲイン‼︎ いちご白書をもう一度! 寿命は肉食えば大丈夫‼︎‼︎

テイク3 !!! 

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彫っていて気になっていた箇所のデザインを変更しました。(僕の技術的な要因もあり)
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打ち終えました。モチーフ自体は変えていませんが比べると結構デザインが変わりましたね。
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ボタンに厚みを合わせるために革を貼り合わせます。そのための縫い穴をあける。
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染色してレザーコート。
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裏側に革をボンドで貼り合わせます。
曲げた状態で貼らないと、内側にシワが出るという失敗はもうしませんよ!
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縫い合わせていきます。
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 縫い終わりました。
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切り抜いてボタンも装着! ほぼ完成です‼︎ 
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コバ(淵)をトコノールで仕上げて、今度こそ本当に完成です! 
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完成!

うん。やっとしっくりきました! 作り直して良かった‼︎

納品でライブハウスへ! 

ちょうどお二人のライブ出演がありましたので、その時にお渡しすることに。

ウォークマンケースも作り直していますよ。
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都内某ライブハウスへ。

テーブル席のライブハウスって普段あまり行かないから、ちょっと緊張しています。しかもランニング姿という悪目立ち。

ライブ前にお二人にお会いすることができたので、リストバンドとウォークマンケースをお渡ししました。

ドキが胸胸する。

川久保さんは「想像してたより凄いの来た! ありがとう‼︎」と。

スミさんも「ウォークマンピッタリ!」と喜んでいただけました!

あー良かった。胸をなで下ろした後はゆっくりライブを見ましょう。

ここから画像が荒いのはすいません……。やっぱりスマホって、暗いところだと綺麗に撮れないなあ。
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この日は『mongo 〜可笑しな二人〜』としてのステージ。
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相変わらず圧巻のステージです。
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ドヒャー! 早速リストバンドを付けてくれてます。 しかも演奏の時に! 嬉しい‼︎
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お二人とも喜んでいただけて、それが何よりです!


今回行ったカービング。正直、難しいです。

でもとっても楽しいし、技術の幅が広がってきている気がして改めて革の奥深さを痛感しています。カービングには色々と可能性を感じているので、今後習得してもっと綺麗にできるように上手くなりますよ!

ではまた次回!

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ファンク・ダ・ネオーン

profileneo

普段は普通のサラリーマン。
あるとき独学でレザークラフトを始め見事にはまる。

以来、頼まれた物など失敗や試行錯誤を繰り返し作り続けている。

今欲しい物はリアルに革漉き機とミシンだが、部屋に置く場所が多分ない。

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